。枕頭《まくらもと》にまた一人、同じ姿の奴が居る。
 お珊が黙って、此方《こなた》から差覗《さしのぞ》いて立ったのは、竜田姫《たつたひめ》の彳《たたず》んで、霜葉《もみじ》の錦の谿《たに》深く、夕映えたるを望める光景《ありさま》。居たのが立って、入ったのと、奴二人の、同じ八尺|対扮装《ついでたち》。紫の袖、白襟が、紫の袖、白襟が。
 袖口燃ゆる緋縮緬《ひぢりめん》、ひらりと折目に手を掛けて、きりきりと左右へ廻して、枕を蔽《おお》う六枚|屏風《びょうぶ》、表に描《か》いたも、錦葉《にしきば》なるべし、裏に白銀《しろがね》の水が走る。
「あちらへ。」
 お珊が二人を導いた時、とかくして座を立った、美津が狩衣の袴の裾は、膝を露顕《あらわ》な素足なるに、恐ろしい深山路《みやまじ》の霜を踏んで、あやしき神の犠牲《にえ》に行《ゆ》く……なぜか畳は辿々《たどたど》しく、ものあわれに見えたのである。奴二人は姿を隠した。

       二十五

 屏風を隔てて、この紅《くれない》の袴した媒人《なこうど》は、花やかに笑ったのである。
 一人を褥《しとね》の上に据えて、お珊がやがて、一人を、そのあとから閨
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