羞《はにかん》でいて取んなはらん。……何や、貴方《あんた》がた、おかしなえ。」
ふと気色ばんだお珊の状《さま》に、座が寂《しん》として白けた時、表座敷に、テンテン、と二ツ三ツ、音《ね》じめの音が響いたのである。
二人は黙って差俯向《さしうつむ》く。……
お珊は、するりと膝を寄せた。屹《きっ》として、
「早うおしや! 邪魔が入るとならんよって、私も直《じ》きに女紅場へ行かんとならんえ。……な、あの、酌人が不足なかい。」
二人は、せわしげに瞳を合して、しきりに目でものを云っていた。
「もし、」
と多一が急《せ》いた声で、
「御寮人様、この上になお罰が当ります。不足やなんの、さような事がありまして可《い》いものでござりますか。御免下さりまし、申しましょう。貴女様、その召しました、両方のお袂《たもと》の中が動きます。……美津は、あの、それが可恐《こわ》いのでござります。」と判然《はっきり》云った。
と、頤《おとがい》を檜扇《ひおうぎ》に、白小袖の底を透《すか》して、
「これか、」
と投げたように言いながら、衝《つ》と、両手を中へ、袂を探って、肩をふらりと、なよなよとその唐織の袖を
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