の………扉《ひらき》の、お仕置場らしい青竹の矢来《やらい》の向うに……貴女等《あんたたち》の光景《ようす》をば。――
 悪事は虎の千里走る、好《い》い事は、花の香ほども外へは漏れぬ言うけれど、貴女《あんた》二人は孝行の徳、恋の功《てがら》、恩愛の報《むくい》だすせ。誰も知るまい、私一人、よう知った。
 逢阪に店がある、餅屋の評判のお娘《こ》さん、御両親《おふたおや》は、どちらも行方《ゆきがた》知れずなった、その借銭やら何やらで、苦労しなはる、あのお爺さんの孫や事まで、人に聞いて知ったよって、ふとな、彼やこれや談合しよう気になったも、私ばかりの心やない。
 天満の天神様へ行た、その帰途《かえり》に、つい虚気々々《うかうか》と、もう黄昏《たそがれ》やいう時を、寄ってみたい気になって、貴女の餅屋へ土産買う振りで入ったら、」
 と微笑みながら、二人を前に。
「多一さんが、使の間《ま》をちょっと逢いに寄って、町並|灯《あかり》の点《とも》された中に、その店だけは灯《ひ》もつけぬ、暗いに島田が黒かったえ。そのな、繃帯が白う見えた。」

       二十一

 小指を外《そ》らして指の輪を、我目の
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