云うたかて、多一さんと貴女《あんた》とは、前世から約束したほど、深い交情《なか》でおいでる様子。今更ではあるまいけれど、私とは不思議な御縁やな。
 思うてみれば、一昨日《おととい》の夜《よ》さり、中の芝居で見たまでは天王寺の常楽会《じょうらくえ》にも、天神様の御縁日にも、ついぞ出会うた事もなかったな。
 一見《いちげん》でこうなった。
 貴女《あんた》な、ようこそ、芝居の裏で、お爺《じい》はんの肩|摺《さす》って上げなはった。多一さんも人目忍んで、貴女の孝行手伝わはった。……自分介抱するよって、一条《ひとくさり》なと、可愛い可愛い女房《おかみ》はんに、沢山《たんと》芝居を見せたい心や。またな、その心を汲取《くみと》って、鶉《うずら》へ嬉々《いそいそ》お帰りやした、貴女の優しい、仇気《あどけ》ない、可愛らしさも身に染みて。……
 私はな、丸官はんに、軋々《ぎしぎし》と……四角な天窓《あたま》乗せられて、鶉の仕切も拷問《ごうもん》の柱とやら、膝も骨も砕けるほど、辛い苦しい堪え難い、石を抱く責苦に逢うような中でも、身節《みふし》も弛《ゆる》んで、恍惚《うっとり》するまで視《なが》めていた。あ
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