潔く清き身に、唐衣《からごろも》を着け、袴を穿《は》くと、しらしらと早や旭《あさひ》の影が、霧を破って色を映す。
さて住吉の朝ぼらけ、白妙《しろたえ》の松の樹《こ》の間を、静々と詣《もう》で進む、路の裳《もすそ》を、皐月御殿《さつきごてん》、市《いち》の式殿にはじめて解いて、市の姫は十二人。袴を十二長く引く。……
その市の姫十二人、御殿の正面に揖《ゆう》して出《い》づれば、神官、威儀正しく彼処《かしこ》にあり。土器《かわらけ》の神酒《みき》、結び昆布。やがて檜扇《ひおうぎ》を授けらる。これを受けて、席に帰って、緋や、萌黄《もえぎ》や、金銀の縫箔《ぬいはく》光を放って、板戸も松の絵の影に、雲白く梢《こずえ》を繞《めぐ》る松林《しょうりん》に日の射《さ》す中に、一列に並居《なみい》る時、巫子《みこ》するすると立出《たちい》でて、美女の面《おもて》一《いち》人ごとに、式の白粉を施し、紅をさし、墨もて黛《まゆずみ》を描く、と聞く。
素顔の雪に化粧して、皓歯《しらは》に紅を濃く含み、神々しく気高いまで、お珊はここに、黛さえほんのりと描いている。が、女紅場の沐浴《もくよく》に、美しき膚《はだ
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