車屋台に、前囃子《まえばやし》とて楽を奏する、その十二人と同じ風俗。
後囃子《あとばやし》が、また幕打った高い屋台に、これは男の稚児《ちご》ばかり、すり鉦《がね》に太鼓を合わせて、同じく揃う十二人と、多一は同じ装束である。
二人を前に、銚子《ちょうし》を控えて、人交ぜもしなかった……その時お珊の装《よそおい》は、また立勝《たちまさ》って目覚しや。
十九
宝の市の屋台に付いて、市女《いちめ》また姫とも称《とな》うる十二人の美女が練る。……
練衣《ねりぎぬ》小袿《こうちぎ》の紅《くれない》の袴《はかま》、とばかりでは言足らぬ。ただその上下《うえした》を装束《そうぞ》くにも、支度の夜は丑満《うしみつ》頃より、女紅場《じょこうば》に顔を揃えて一人々々|沐浴《ゆあみ》をするが、雪の膚《はだえ》も、白脛《しろはぎ》も、その湯は一人ずつ紅《べに》を流し、白粉《おしろい》を汲替《くみか》える。髪を洗い、櫛《くし》を入れ、丈より長く解捌《ときさば》いて、緑の雫《しずく》すらすらと、香枕《こうまくら》の香に霞むを待てば、鶏の声しばしば聞えて、元結《もとゆい》に染む霜の鐘の音。血る
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