分は、大阪に呼んで(いたずら)とか。緋縮緬《ひぢりめん》のかけおろし。橘に実を抱かせた笄《こうがい》を両方に、雲井の薫《かおり》をたきしめた、烏帽子《えぼし》、狩衣《かりぎぬ》。朱総《しゅぶさ》の紐は、お珊が手にこそ引結うたれ。着つけは桃に薄霞《うすがすみ》、朱鷺色絹《ときいろぎぬ》に白い裏、膚《はだえ》の雪の紅《くれない》の襲《かさね》に透くよう媚《なまめ》かしく、白の紗《しゃ》の、その狩衣を装い澄まして、黒繻子《くろじゅす》の帯、箱文庫。
含羞《はなじろ》む瞼《まぶた》を染めて、玉の項《うなじ》を差俯向《さしうつむ》く、ト見ると、雛鶴《ひなづる》一羽、松の羽衣|掻取《かいと》って、曙《あけぼの》の雲の上なる、宴《うたげ》に召さるる風情がある。
同じ烏帽子、紫の紐を深く、袖を並べて面伏《おもぶせ》そうな、多一は浅葱紗《あさぎしゃ》の素袍《すおう》着て、白衣《びゃくえ》の袖を粛《つつ》ましやかに、膝に両手を差置いた。
前なるお美津は、小鼓に八雲琴《やくもごと》、六人ずつが両側に、ハオ、イヤ、と拍子を取って、金蒔絵《きんまきえ》に銀鋲《ぎんびょう》打った欄干づき、輻《やぼね》も漆の
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