色めく姿、爪尖《つまさき》まで、――さながら、細い黒髪の毛筋をもって、線を引いて、描き取った姿絵のようであった。

       十八

 池の面《おも》は、蒼《あお》く、お珊の唇のあたりに影を籠《こ》めた。
 風少し吹添って、城ある乾《いぬい》の天《そら》暗く、天満宮の屋の棟が淀《どんよ》り曇った。いずこともなく、はたはたと帆を打つ響きは、幟《のぼり》の声、町には黄なる煙が走ろう、数万人の形を掠《かす》めて。……この水のある空ばかり、雲に硝子《がらす》を嵌《は》めたるごとく、美女《たおやめ》の虹《にじ》の姿は、姿見の中に映るかと、五色の絹を透通して、色を染めた木《こ》の葉は淡く、松の影が颯《さっ》と濃い。
 打紐にまた脈を打って、紫の血が通うばかり、時に、腕《かいな》の色ながら、しろじろと鱗《うろこ》が光って、その友染に搦《から》んだなりに懐中《ふところ》から一条《ひとすじ》の蛇《くちなわ》の蜿《うね》り出た、思いかけず、ものの凄《すさま》じい形になった。
「あ、」
 と云う声して、手を放すと、蛇の目輝く緑の玉は、光を消して、亀の口に銜《くわ》えたまま、するするする、と水脚を引いてそ
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