り》する、瞼《まぶた》に薄く色が染まって、類《たぐい》なき紅葉《もみじ》の中の俤《おもかげ》である。
「一遍お待ちやす……思《おもい》を遂げんと気がかりなよって、見ていておくれやす。私《あて》が手伝うさかいな。」
 猶予《ためら》いあえず、バチンと蓮《はす》の果《み》の飛ぶ音が響いた。お珊は帯留《おびどめ》の黄金《きん》金具、緑の照々《きらきら》と輝く玉を、烏羽玉《うばたま》の夜の帯から星を手に取るよ、と自魚の指に外ずして、見得もなく、友染《ゆうぜん》を柔《やわらか》な膝なりに、腰をなよなよと汀に低く居て――あたかも腹を空に突張《つッぱ》ってにょいと上げた、藻を押分けた――亀の手に、縋《すが》れよ、引かむ、とすらりと投げた。
 帯留は、銀《しろがね》の曇ったような打紐《うちひも》と見えた。
 その尖《さき》は水に潜《くぐ》って、亀の子は、ばくりと紐を噛《か》む、ト袖口を軽く袂《たもと》を絞った、小腕《こかいな》白く雪を伸べた。が、重量《おもみ》がかかるか、引く手に幽《かすか》に脈を打つ。その二の腕、顔、襟、頸《うなじ》、膚《はだ》に白い処は云うまでもない、袖、褄《つま》の、艶《えん》に
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