た亀なのであった。
枯蓮《かれはす》もばらばらと、折れた茎に、トただ一つ留ったのは、硫黄《いおう》ヶ島の赤蜻蛉《あかとんぼ》。
鯡鯉《ひごい》の背は飜々《ひらひら》と、お珊の裳《もすそ》の影に靡《なび》く。
居たのは、つい、橋の其方《そなた》であった。
半襟は、黒に、蘆《あし》の穂が幽《かすか》に白い、紺地《こんのじ》によりがらみの細い格子、お召縮緬《めしちりめん》の一枚小袖、ついわざとらしいまで、不断着で出たらしい。コオトも着ない、羽織の色が、派手に、渋く、そして際立って、ぱっと目についた。
髪の艶《つや》も、色の白さも、そのために一際目立つ、――糸織か、一楽《いちらく》らしいくすんだ中に、晃々《きらきら》と冴《さ》えがある、きっぱりした地の藍鼠《あいねずみ》に、小豆色《あずきいろ》と茶と紺と、すらすらと色の通った縞《しま》の乱立《らんたつ》。
蒼空《あおぞら》の澄んだのに、水の色が袖に迫って、藍は青に、小豆は紅《くれない》に、茶は萌黄《もえぎ》に、紺は紫の隈《くま》を染めて、明《あかる》い中に影さすばかり。帯も長襦袢もこれに消えて、山深き処、年|古《ふ》る池に、ただその
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