もと》のごとし。……
真中《まんなか》へ挟《はさま》った私を御覧。美しい絹糸で、身体《からだ》中かがられる、何だか擽《くすぐった》い気持に胸が緊《しま》って、妙に窮屈な事といったらない。
狂犬《やまいぬ》がむっくり、鼻息を吹直した。
(柿があるか、剥《む》けやい、)と涎《よだれ》で滑々《ぬらぬら》した口を切って、絹も膚《はだ》にくい込もう、長い間枕した、妾の膝で、真赤《まっか》な目を※[#「目+爭」、第3水準1−88−85]《みひら》くと、手代をじろり、さも軽蔑したように見て、(何《なん》しとる? 汝《わり》ゃ!)と口汚く、まず怒鳴った。
(何じゃ、返事を待った、間抜け。勘定|欲《ほし》い、と取りに来た金子《かね》なら、払うてやるは知れた事や。何|吐《ぬか》す。……三百や五百の金。うんも、すんもあるものかい、鼻かんで敲《たた》きつけろ、と番頭にそう吐《ぬ》かせ。)
(はい、)と、手を支《つ》く。
(さっさと去《い》ね、こない場所へのこのこと面出しおって、何《なん》さらす、去ねやい。)
(はい、)とそれでも用ずみ。前垂の下で手を揉《も》みながら、手代が立って、五足ばかり行《ゆ》きかか
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