すそさばき》にはら/\とこぼるゝ風情、蓋し散る花のながめに過ぎたり。紅裙《こうくん》三|尺《じやく》魂《たましひ》を裹《つつ》むいくばくぞや。
蹴出《けだし》
これ当世の腰巻なり。肌に長襦袢を着ることなるが、人には見えぬ処にて、然も端物《はもの》の高価なるを要するより経済上、襦袢を略して半襦袢とし、腰より下に、蹴出を纏ひて、これを長襦袢の如く見せ懸けの略服なりとす、表は友染染《いうぜんぞめ》、緋縮緬などを用ゐ裏には紅絹《もみ》甲斐絹《かひき》等《とう》を合《あは》す、すなわち一枚にて幾種の半襦袢と継合《つぎあ》はすことを得《え》、なほ且長襦袢の如く白き脛《はぎ》にて蹴出すを得るなり、半襦袢と継合はすために紐を着けたり、もし紐を着けざるには、ずり落ざるため強き切《きれ》を其《その》引纏《ひきまと》ふ部分に継ぐ。
半襟《はんえり》
襦袢の襟に別にまたこれを着《つ》く、三枚襲《さんまいがさね》の外部にあらはるゝ服装にして、謂はば一種の襟飾なり。最も色合と模様は人々の好に因る、金糸《きんし》にて縫ひたるもあり、縮緬、綾子《りんず》、絽《ろ》、等を用ふ。別に不断着
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