こ》みの、懸《かけ》みの、根かもじ、横毛といふあり、ばら毛といふあり。形《かた》に御殿形《ごてんがた》、お初形《はつがた》、歌舞伎形などありと知るべし。次には櫛なり、差櫛《さしぐし》、梳櫛《すきぐし》、洗櫛《あらひぐし》、中櫛《なかざし》、鬢掻《びんかき》、毛筋棒《けすぢぼう》いづれも其一《そのいち》を掻《か》くべからず。また、鬢附《びんつけ》と梳油《すきあぶら》と水油とこの三種の油必要なり。他に根懸《ねがけ》と手絡《てがら》あり。元結あり、白元結《しろもとゆひ》、黒元結《くろもとゆひ》、奴元結《やつこもとゆひ》、金柑元結《きんかんもとゆひ》、色元結《いろもとゆひ》、金元結《きんもとゆひ》、文七元結《ぶんしちもとゆひ》[#「文七元結」は底本では「文六元結」]など皆其類なり。笄《かうがい》、簪《かんざし》は謂ふも更なり、向指《むかうざし》、針打《はりうち》、鬢挟《びんばさみ》、髱挟《たばさみ》、当節また前髪留といふもの出来たり。
 恁《かく》て島田なり、丸髷《まるわげ》なり、よきに従ひて出来あがれば起ちて、まづ、湯具を絡《まと》ふ、これを二布《ふたの》といひ脚布《こしまき》といひ女の言葉
前へ 次へ
全13ページ中3ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
泉 鏡花 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング