つ》の腕《かいな》を、左右へ真直《まっすぐ》に伸《の》したのを上下《うえした》に動かしました。体がぶるぶるッと顫《ふる》えたと見るが早いか、掻消《かきけ》すごとく裸身《はだかみ》の女は消えて、一羽の大蝙蝠となりましてございまする。
 例のごとくふわふわと両三度土間の隅々を縫いましたが、いきなり俯《うつむ》けになっているお雪の顔へ、顔を押当て、翼でその細い項《うなじ》を抱いて、仰向《あおむ》けに嘴《くちばし》でお雪の口を圧《おさ》えまして、すう、すうと息を吸うのでありまする。
 これを見せられた小宮山は、はッと思って息を引いたが、いかんともする事|叶《かな》わず、依然としてそのあッと云う体《てい》。
 二度三度、五度六度、やや有って息を吸取ったと見えましたが、お雪の体は死んだもののようになってはたと横様に仆《たお》れてしまいました。
 喫驚《びっくり》仰天はこれのみならず、蝙蝠がすッと来て小宮山の懐へ、ふわりと入《い》りましたので、再びあッと云って飛び上ると同時に、心付きましたのは、旧《もと》の柏屋の座敷に寝ていたのでありまする。
 大息《といき》を吐《つ》いて、蒲団の上へ起上った、小宮
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