湯女の魂
泉鏡花

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)九字《くじ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)隠身|避水《へきすい》火遁《かとん》の術

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「目+句」、第4水準2−81−91]《みまわ》し
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       一

 誠に差出がましく恐入りますが、しばらく御清聴を煩わしまする。
 八宗の中にも真言宗には、秘密の法だの、九字《くじ》を切るだのと申しまして、不思議なことをするのでありますが、もっともこの宗門の出家方は、始めから寒垢離《かんごり》、断食など種々《さまざま》な方法で法を修《しゅ》するのでございまして、向うに目指す品物を置いて、これに向って呪文《じゅもん》を唱え、印を結んで、錬磨の功を積むのだそうでありまする。
 修錬の極致に至りますると、隠身|避水《へきすい》火遁《かとん》の術などはいうまでもございませぬ、如意自在な法を施すことが出来るのだと申すことで。
 ある真言|寺《でら》の小僧
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