く》の幹に凭《よ》りつつ――間《ま》。――小児《こども》らの中に出《い》づ)まあ、いいお児《こ》ね、媛神《ひめがみ》様のお庭の掃除をして、どんなにお喜びだか知れません――姉《ねえ》さん……(寂《さびし》く微笑《ほほえ》む)あの、小母《おば》さんがね、ほんの心ばかりの御褒美《ごほうび》をあげましょう。一度お供物《くもつ》にしたのですよ。さあ、お菓子。
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小児《こども》ら、居分《いわか》れて、しげしげ瞻《みまも》る。
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お沢 さあ、めしあがれ。
小児一 持って行《ゆ》くの。
女児一 頂いて帰るの。(皆いたいけに押頂《おしいただ》く。)
お沢 まあ。何故《なぜ》ね。
女児二 でも神様が下さるんですもの。
お沢 ああ、勿体《もったい》ない。私《わたし》はお三《さん》どんだよ、箒を一つ貸して頂戴《ちょうだい》。
小児二 じゃあ、おつかい姫だ。
女児一 きれいな姉《ねえ》さん。
女児二 こわいよう。
小児一 そんな事いうと、学校で笑われるぜ。
女児一 だって、きれいな小母《おば》さん。
女児二 こわいよう。
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