州松本の在、至って山家ものでございます。」
「それじゃ、二人で、海山のお物語が出来ますね。」
 と、明は優しく、人|懐《な》つこい。

       二十二

「不思議な御縁で、何とも心嬉しく存じますが、なかなかお話相手にはなりません。ただ
承りまするだけで、それがしかし何より私《わたくし》には結構でございます。」
 と僧は慇懃《いんぎん》である。
 明は少し俯向《うつむ》いた。瘠《や》せた顋《あぎと》に襟狭く、
「そのお話と云いますのが、実に取留めのない事で、貴僧《あなた》の前では申すのもお恥かしい。」
「決して、さような事はございません。茶店の婆さんはこの邸に憑物《つきもの》の――ええ、ただ聞きましたばかりでも、成程、浮ばれそうもない、少《わか》い仏たちの回向《えこう》も頼む。ついては貴下《あなた》のお話も出ましてな。何か御覚悟がおありなさるそうで、熟《じっ》と辛抱をしてはござるが、怪しい事が重なるかして、お顔の色も、日ごとに悪い。
 と申せば、庭先の柿の広葉が映るせいで、それで蒼白《あおじろ》く見えるんだから、気にするな、とおっしゃるが、お身体《からだ》も弱そうゆえに、老寄《とし
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