草迷宮
泉鏡花

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)蛇《じゃ》が立って、

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一夏|激《はげし》い暑さに

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)きょろきょろと※[#「目+句」、第4水準2−81−91]《みまわ》して
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[#ここから4字下げ]
向うの小沢に蛇《じゃ》が立って、
八幡《はちまん》長者の、おと娘、
よくも立ったり、巧んだり。
手には二本の珠《たま》を持ち、
足には黄金《こがね》の靴を穿《は》き、
ああよべ、こうよべと云いながら、
山くれ野くれ行ったれば…………
[#ここで字下げ終わり]

       一

 三浦の大崩壊《おおくずれ》を、魔所だと云う。
 葉山一帯の海岸を屏風《びょうぶ》で劃《くぎ》った、桜山の裾《すそ》が、見も馴《な》れぬ獣《けもの》のごとく、洋《わだつみ》へ躍込んだ、一方は長者園の浜で、逗子《ずし》から森戸、葉山をかけて、夏向き海水浴の時分《ころ》、人死《ひとじに》のあるの
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