の汁よ。
 客僧等が茶を参った、爺《じじい》が汲んで来た、あれは川水。その白濁《しろにごり》がまだしも、と他の者はそれを用いる、がこの少年は、前《さき》に猫の死骸の流れたのを見たために、得《え》飲まずしてこの井戸のを仰ぐ。
 今も言う通りだ。殺さぬまでに現責《うつつぜめ》に苦しめ呪うがゆえ、生命《いのち》を縮めては相成らぬで、毎夜少年の気着かぬ間に、振袖に緋《ひ》の扱帯《しごきおび》した、面《つら》が狗《いぬ》の、召使に持たせて、われら秘蔵の濃緑《こみどり》の酒を、瑠璃色《るりいろ》の瑪瑙《めのう》の壺《つぼ》から、回生剤《きつけ》として、その水にしたたらして置くが習《ならい》じゃ。」

       四十二

「少年は味《あじお》うて、天与の霊泉と舌鼓を打っておる。
 我ら、いまし少年の魂に命じて、すなわちその酒を客僧に勧め飲ましむる夢を見させたわ。(ただ一口試みられよ、爽《さわやか》な涼しい芳《かんば》しい酒の味がする、)と云うに因って、客僧、御身《おんみ》はなおさら猶予《ためら》う、手が出ぬわ。」
 とまた微笑《ほほえ》み、
「毒味までしたれば、と少年は、ぐと飲み飲み、無理に勧め
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