どう》へ、中から透いて影がさしたのを、女の手ほどの大《おおき》な蜘蛛《くも》、と咄嗟《とっさ》に首を縮《すく》めたが、あらず、非《あら》ず、柱に触って、やがて油壺《あぶらつぼ》の前へこぼれたのは、木《こ》の葉であった、青楓《あおかえで》の。
僧は思わず手で拾った。がそのまさしく木の葉であるや、しからずや、確かめようとしたのか、どうか、それは渠《かれ》にも分りはせぬ。
ト続いて、颯《さっ》と影がさして、横繁吹《よこしぶき》に乗ったようにさらりと落ちる。
我にもあらず、またもやそれを拾った時、先《せん》のを、
「一枚、」
と思わず算《かぞ》えた。
「二枚、」
とあとを数え果さず、三枚目のは、貝ほどの槻《けやき》の葉で、ひらひらと燈《ともしび》を掠《かす》めて来た、影が大《おおき》い。
「三枚、」
と口の裡《うち》で呟《つぶや》くと、早や四枚目が、ばさばさと行燈の紙に障《さわ》った。
「四枚、五枚、六枚、七枚、」
と数える内に、拾い上げた膝の上は、早や隙間なく落葉に埋もるる。
空を仰ぐと、天井は底がなく、暗夜《やみ》の深山《みやま》にある心地。
おお、この森を峠にして、こん
前へ
次へ
全189ページ中158ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
泉 鏡花 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング