体なさに、慌てて踏んでいる足を除《ど》けると、我知らず、片足が、またぐッと乗る。
 うむ、と呻《うめ》かれて、ハッと開くと、旧《もと》の足で踏みかける。顛倒《てんどう》して慌てるほど、身体《からだ》のおしに重みがかかる、とその度に、ぐ、ぐ、と泣いて、口から垂々《だらだら》と血を吐くのが、咽喉《のど》に懸《かか》り、胸を染め、乳の下を颯《さっ》と流れて、仁右衛門の蹠《あしのうら》に生暖《なまあたたこ》う垂れかかる。
 あッと腰を抜いて、手を支《つ》くと、その黒髪を掻掴《かいつか》んだ。
 御免なせえまし、御新姐様、御免なせえまし、と夢中ながら一心に詫びると、踏躪《ふみにじ》られる苦悩の中から、目を開いて、じろじろと見る瞳が動くと、口も動いて、莞爾《にっこり》する、……その唇から血が流れる。
 足は膠《にかわ》で附けたよう。
 同一《おなじ》処で蠢《うごめ》く処へ、宰八の声が聞えたので、救助《たすけ》を呼ぶさえ呻吟《うめ》いたのであった。
 かくて、手を取って引立《ひった》てられた――宰八が見た飛石は、魅せられた仁右衛門の幻の目に、すなわち御新姐の胸であったのである、足もまだ粘々《ねばねば
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