すわ》、獣《けだもの》か、人間か。いずれこの邸を踏倒そう屋根|住居《ずまい》してござる。おのれ、見ろ、と一足|退《すさ》って竹槍を引扱《ひきしご》き、鳥を差いた覚えの骨《こつ》で、スーッ!突出《つきだ》した得物の尖《さき》が、右の袖下を潜《くぐ》るや否や、踏占めた足の裏で、ぐ、ぐ、ぐ、と声を出したものがある。
 地《つち》が急に柔かく、ほんのりと暖かに、ふっくりと綿を踏んで、下へ沈みそうな心持。他愛《たわい》なく膝節の崩れるのに驚いて、足を見る、と白粉《おしろい》の花の上。
 と思ったがそれは遠い。このふっくりした白いものは、南無三宝《なむさんぼう》仰向《あおむ》けに倒れた女の胸、膨らむ乳房の真中《まんなか》あたり、鳩尾《みぞおち》を、土足で蹈《ふ》んでいようでないか。
 仁右衛門ぶるぶるとなり、据眼《すえまなこ》に熟《じっ》と見た、白い咽喉《のんど》をのけ様《ざま》に、苦痛に反らして、黒髪を乱したが、唇を洩《も》る歯の白さ。草に鼻筋の通った顔は、忘れもせぬ鶴谷の嫁、初産《ういざん》に世を去った御新姐《ごしんぞ》である。
 親仁は天窓《あたま》から氷を浴びた。
 恐しさ、怪しさより、勿
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