、瓦屋根を踏倒して、股倉《またぐら》へ掻込《かいこ》む算段、図星図星。しゃ!明神様の託宣《おつげ》――と眼玉《まなこだま》で睨《にら》んで見れば、どうやら近頃から逗留《とうりゅう》した渡りものの書生坊《しょせっぽう》、悪く優しげな顔色《つらつき》も、絵草子で見た自来也《じらいや》だぞ、盗賊の張本ござんなれ。晩方|来《う》せた旅僧めも、その同類、茶店の婆《ばば》も怪しいわ。手引した宰八も抱込まれたに相違ない。道理こそ化物沙汰に輪を掛《かけ》る。待て待て狂人《きちがい》の真似何でもない事、嘉吉も一升飲まされた――巫山戯《ふざけ》た奴等《やつら》、どこだと思う。秋谷村には甘え柿と、苦虫あるを知んねえか、とわざと臆病に見せかけて、宵に遁《に》げたは真田幸村《さなだゆきむら》、やがてもり返して盗賊《どろぼう》の巣を乗取《のっと》る了簡《りょうけん》。
 いつものように黄昏《たそがれ》の軒をうろつく、嘉吉|奴《め》を引捉《ひっとら》え、確《しか》と親元へ預け置いたは、屋根から天蚕糸《てぐす》に鉤《はり》をかけて、行燈を釣らせぬ分別。
 かねて謀計《はかりごと》を喋合《しめしあわ》せた、同じく晩方|
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