たのである。
これは、と驚くと、仔細《しさい》ござります。水を一口、と云う舌も硬《こわ》ばり、唇は土気色。手首も冷たく只戦《ひたわなな》きに戦くので、ともかく座敷へ連れよう……何しろ危いから、こういうものはと、竹槍は明が預る。
引《ひっ》そいだ切尖《きっさき》の鋭《するど》いのが、法衣《ころも》の袖を掠《かす》ったから、背後《うしろ》に立った僧は慌てて身を開いて、行燈は手前が、とこれが先へ立つ。
さあ負《おぶ》され、と蟹の甲を押向けると、いや、それには及ばぬ、と云った仁右衛門が、僧の裾《すそ》を啣《くわ》えた体《てい》に、膝で摺《ず》って縁側へ這上《はいあが》った。
あとへ、竹槍の青光りに艶のあるのを、柄長に取って、明が続く。
背後《うしろ》で雨戸を閉めかけて、おじい、腰が抜けたか、弱い男だ、とどうやら風向《かざむき》が可《よ》さそうなので、宰八が嘲《あざ》けると、うんにゃ足の裏が血だらけじゃ、歩行《あるく》と痕《あと》がつく、と這いながら云ったので――イヤその音の夥《おびただ》しさ。がらりと閉め棄てに、明の背《せな》へ飛縋《とびすが》った。――真先《まっさき》へ行燈が、坊さ
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