うべ》のようで、一人で立ってる気はしねえけんど、お前様が坊様だけに気丈夫だ。えら茶話がもてて、何度も土瓶をかわかしたで、入《いれ》かわって私もやらかしますべいに、待ってるだよ。」
 僧は戸を開けながら、と、声をかけて、
「御免下さい。」
 と、ぴたりと閉めた。
「あ、あ、気味の悪い。誰に挨拶《あいさつ》さっせるだ。南無阿弥陀仏《なむあみだぶ》、南無阿弥陀仏。はて、急に変なことを考えたぞ[#「考えたぞ」は底本では「考えだぞ」]。そこさ一面の障子の破れ覗《のぞ》いたら何が見えべい――南無阿弥陀仏《なんまいだ》、ああ、南無阿弥陀仏、……やあ、蝋燭《ろうそく》がひらひらする、どこから風が吹いて来るだ。これえ消したが最後、立処《たちどころ》に六道の辻に迷うだて。南無阿弥陀仏《なんまいだ》、御坊様、まだかね。」
「ちょいと、」
「ひゃあ、」
 僧は半ば開いて、中に鼠の法衣《ころも》で立ちつつ、
「ちょいと燭《あかり》を見せておくれ。」
「ええ、お前様、前《さき》へ戸を開けておいてから何か言わっしゃれば可《い》い。板戸が音声《おんじょう》を発したか、と吃驚《びっくり》しただ、はあ、何だね。」
「入口
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