。おらが鼻の尖《さき》を、ひいらひいら、あの生白《なまちら》けた芋の葉の長面《ながづら》が、ニタニタ笑えながら横に飛んだ。精霊棚の瓢箪《ひょうたん》が、ひとりでにぽたりと落ちても、御先祖の戒《いましめ》とは思わねえで、酒も留《や》めねえ己《おら》だけんど、それにゃ蔓《つる》が枯れたちゅう道理がある。風もねえに芋の葉が宙を歩行《ある》くわけはねえ。ああ、厭だ、総毛立つ、内へ帰って夜具を被《かぶ》って、ずッしり汗でも取らねえでは、煩いそうに頭も重い。)
 と縮《すく》むだね。
 例《いつも》の小児《こども》が駆出したろう、とそう言うと、なお悪い。あの声を聞くと堪《たま》らねえ。あれ、あれ、石を鳴らすのが、谷戸《やと》に響く。時刻も七ツじゃ、と蒼《あお》くなって、風呂敷包|打置《ぶちお》いて、ひょろひょろ帰るだ。
 先生様、ではお前様、その重箱を提げてくれさっせえ、と私《わし》が頼むとね。
(厭だ、)と云っけい。
(はてね、なぜでがす。)
 ここさ、お客様の前《めえ》だけんど、気にかけて下せえますなよ。
(軍歌でもやるならまだの事、子守や手毬唄なんかひねくる様な奴《やつ》の、弁当持って堪るも
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