べての怪異は。――自分の慾《よく》のために、自分の恋のために、途中でその手毬を拾った罰だろう、と思う、思うんです。
 祟らば祟れ!飽くまでも初一念を貫いて、その唄を聞かねば置かない。
 心の迷《まよい》か知れませんが。目《ま》のあたり見ます、怪しさも、凄《すご》さも、もしや、それが望みの唄を、何人《なんぴと》かが暗示するのであろうも知れん、と思って、こうその口ずさんで見るんです――行燈《あんどう》が宙へ浮きましょう。
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(美しき君の姿は、
 萌黄《もえぎ》の蚊帳を、
 蚊帳のまわりを、姿はなしに、
 通る行燈《あんど》の俤《おもかげ》や。)……
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 勿論、こんなのではありません。または、
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(美しき君の庵《いおり》は、[#底本では冒頭に「(」なし]
 前の畑に影さして、
 棟の草も露に濡れつつ、
 月の桂《かつら》が茅屋《かやや》にかかる。)……
[#ここで字下げ終わり]
 ちっとも似てはおらんのです。屋根で鵝鳥《がちょう》が鳴く時は、波に攫《さら》われるのであろうと思い、板戸に馬の影がさせば、修羅道に堕《お》ちるか、
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