っ》と吐《つ》き、
「まずおめでたい、ではその唄が知れましたか。」
「どうして唄は知れませんが、声だけは、どうやらその人……いいえ、……そのものであるらしい。この手毬を弄《もてあそ》ぶのは、確《たしか》にその婦人《おんな》であろう。その婦人は何となく、この空邸《あきやしき》に姿が見えるように思われます。……むしろ私はそう信じています。
 爺さんに強請《ねだ》って、ここを一|室《ま》借りましたが、借りた日にはもう其の手毬を取返され――私は取返されたと思うんですね――美しく気高い、その婦人《おんな》の心では、私のようなものに拾わせるのではなかったでしょう。
 あるいはこれを、小川の裾《すそ》の秋谷明神へ届けるのであったかも分らない。そうすると、名所だ、と云う、浦の、あの、子産石をこぼれる石は、以来手毬の糸が染まって、五彩|燦爛《さんらん》として迸《ほとばし》る。この色が、紫に、緑に、紺青《こんじょう》に、藍碧《らんぺき》に波を射て、太平洋へ月夜の虹《にじ》を敷いたのであろうも計られません、」
 とまた恍惚《うっとり》となったが、頸《うなじ》を垂れて、
「その祟《たたり》、その罪です。このす
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