です、兎でしょう。
が、似た事のありますものです――その時は小狗《こいぬ》でした。鈴がついておりましたっけ。白垢《むく》の真白《まっしろ》なのが、ころころと仰向《あおむ》けに手をじゃれながら足許《あしもと》を転がって行《ゆ》きます。夢のようにそのあとへついて、やがて門札を見ると指した家で。
まさか奥様《おくさん》に、とも言えませんから、主人に逢って、――意中を話しますと――
(夜中《やちゅう》何事です。人を馬鹿にした。奥は病気だからお目には懸《かか》れません。)
と云って厭《いや》な顔をしました。夫人が評判の美人だけに、校長さんは大した嫉妬深いという事で。」
三十
「叔母がつくづく意見をしました。(はじめから彼家《あすこ》へ行《ゆ》くと聞いたら遣《や》るのじゃなかった――黙っておいでだから何にも知らずに悪い事をしたよ。さきじゃ幼馴染《おさななじみ》だと思います、手毬唄を聞くなぞ、となおよくない、そんな事が世間へ通るかい、)とこうです。
母親の友達を尋ねるに、色気の嫌疑はおかしい、と聞いて見ると、何《なあに》、女の児《こ》はませています、それに紅《あか》い手絡《
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