がく》の違《ちが》つた処《ところ》へ、私《わたし》を持《も》つて来《き》た手際《てぎは》と云《い》ふのは無《な》い。何《なに》か、此《こ》の辺《へん》に、有名《いうめい》な狐《きつね》でも居《ゐ》るか。』
と酔《よ》つぱらひのやうな言《こと》を云《い》つて、ひよろ/\為《し》ながら、其《そ》の男《をとこ》に導《みちび》かれて引返《ひきかへ》す。
『狐《きつね》や狸《たぬき》ではござりましねえ、お天守《てんしゆ》にござる天狗様《てんぐさま》だのエ、時々《とき/″\》悪戯《いたづら》をさつしやります。』
『何《なに》天狗《てんぐ》。』
と云《い》ふと慌《あはたゞ》しく袂《たもと》を曳《ひ》いて、
『えゝ、大《おほき》な声《こゑ》をさつしやりますな、聞《き》こえるがのエ』と、蒼《あを》い顔《かほ》して、其《そ》の男《をとこ》は、足許《あしもと》を樹《き》の梢《こずゑ》から透《す》いて見《み》える、燈《ともしび》の影《かげ》を指《ゆびさ》したんです。」
谺《こだま》
十五
で、其処《そこ》が温泉宿《をんせんやど》だ、と教《をし》へて、山間《やまあひ》
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