神鑿
泉鏡太郎

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)濡色《ぬれいろ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)城《じやう》ヶ|沼《ぬま》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「彳+羊」、第3水準1−84−32]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)とぼ/\と
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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       朱鷺船《ときふね》


         一

 濡色《ぬれいろ》を含《ふく》んだ曙《あけぼの》の霞《かすみ》の中《なか》から、姿《すがた》も振《ふり》もしつとりとした婦《をんな》を肩《かた》に、片手《かたて》を引担《ひつかつ》ぐやうにして、一人《ひとり》の青年《わかもの》がとぼ/\と顕《あら》はれた。
 色《いろ》が真蒼《まつさを》で、目《め》も血走《ちばし》り、伸《の》びた髪《かみ》が額《ひたひ》に被《かゝ》つて、冠物《かぶりもの》なしに、埃塗《ほこりまみ》れの薄汚《うすよご》れた、
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