《わが》まゝの佗《わび》だと言つて、麻袋《あさぶくろ》を、烏帽子《えばうし》入《い》れたまゝ雪枝《ゆきえ》に譲《ゆづ》つた。
さて、温泉宿《ゆのやど》に帰《かへ》つたが、人々《ひと/″\》は、雪枝《ゆきえ》の顔《かほ》の色《いろ》の清々《すが/\》しいのを視《なが》めて、はじめて渡《わた》した一通《いつつう》の書信《しよしん》がある。
途中《とちゆう》より、としてお浦《うら》の名《な》で、二人《ふたり》が結婚《けつこん》を為《し》ない前《まへ》から、契《ちぎ》りを交《か》はした少年《せうねん》の学生《がくせい》が一人《ひとり》ある。此《こ》の度《たび》の密月《みつゞき》の旅《たび》の第一夜《だいいちや》から、附絡《つきまと》ふて、隣《となり》の部屋《へや》に何時《いつ》も宿《やど》る……其《それ》さへも恐《おそ》ろしいのに、つひ言葉《ことば》のはづみから、双六谷《すごろくだに》に分入《わけい》つて、二世《にせ》の契《ちぎり》を賭《か》けやうとする、聞《き》けば名高《なだか》い神秘《しんぴ》の山奥《やまおく》、迚《とて》も罪深《つみふか》さに堪《た》へないため、諸《もろ》ともに身《み
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