》を隠《かく》す、とあつた。
 渠《かれ》は神色《しんしよく》自若《じゞやく》とした。
 あはれ、神《かみ》は、香村雪枝《かむらゆきえ》を守《まも》らせ給《たま》ふ!
 然《さ》うで無《な》いと、恁《か》くまでに恋慕《こひした》つた女《をんな》、気《き》が狂《くる》はずには居《ゐ》なかつたのである。
 東京《とうきやう》に帰《かへ》つて後《のち》、呼《よ》べば応《こた》へて顕《あら》はるゝ、双六谷《すごろくだに》の美女《たをやめ》の像《ざう》を、唯《たゞ》目《め》を開《ひら》いて見《み》るやうに、すら/\と刻《きざ》み得《え》た。麻袋《あさふくろ》の鑿《のみ》小刀《こがたな》は、如意《によい》自在《じざい》に働《はたら》く。
 彫像《てうざう》の成《な》つた時《とき》、北《きた》の一天《いつてん》、俄《には》かに黒雲《くろくも》を捲起《まきお》こして月夜《つきよ》ながら霰《あられ》を飛《と》ばした。
 年《とし》経《た》つて、再《ふたゝ》び双六《すごろく》の温泉《をんせん》に遊《あそ》んだ時《とき》、最《も》う老爺《ぢい》は居《ゐ》なかつた。が、城址《しろあと》の濠《ほり》には船《ふね
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