》じて、」
と励《はげ》まし教《をし》うるが如《ごと》くに老爺《ぢい》が言《い》ふ。
「姫《ひめ》、姫《ひめ》、」
と勇《いさ》ましく、
「疵《きづ》を附《つ》けたら、私《わたし》も死《し》ぬ。」
と熟《じつ》と見《み》て、小刀《こがたな》を取直《とりなほ》した。
 美女《たをやめ》の姿《すがた》ありのまゝ、木彫《きぼり》の像《ざう》と成《な》つた時《とき》、膝《ひざ》に取《と》つて、雪枝《ゆきえ》は犇《ひし》と抱締《だきし》めて離《はな》し得《え》なんだ。
 老爺《ぢい》が其《そ》の手《て》を曳《ひ》いて起《お》こして、さて、かはる/″\負《お》ひもし、抱《だ》きもして、嶮岨《けんそ》難処《なんしよ》を引返《ひきかへ》す。と二時《ふたとき》が程《ほど》に着《つ》いた双六谷《すごろくだに》を、城址《しろあと》までに、一夜《ひとよ》、山中《さんちゆう》に野宿《のじゆく》した。
 其《そ》の夜《よ》の星《ほし》の美《うつく》しさ。
 中《なか》にも山《やま》の端《は》に近《ちか》いのが、美女《たをやめ》の像《ざう》の額《ひたひ》を飾《かざ》つて輝《かゞや》いたのである。
 翌朝《あけのあさ
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