て、焦《あせ》つてお悶《もだ》へ遊《あそ》ばすから、危《あぶな》いとは思《おも》ひながら、我儘《わがまゝ》おつしやる可愛《かあい》らしさに、謹慎《つゝしみ》もつひ忘《わす》れ、心《こゝろ》が乱《みだ》れて、よもやに曳《ひ》かされ、人間《にんげん》の采《さい》を使《つか》つたので、効《かひ》なく敵《かたき》に負《ま》けました。貴下《あなた》も、悪《わる》い、私《わたし》も悪《わる》い。
あゝ、花《はな》も恁《か》う乱《みだ》れぬうち、雲《くも》の中《うち》から奥様《おくさま》を助《たす》け出《だ》し、こゝへ並《なら》べて、蝶《てふ》の蔭《かげ》から、貴下《あなた》の喜《よろこ》ぶ顔《かほ》を見《み》て、其《そ》の後《あと》で名告《なの》りたうごさんした。」
としめやかに朱唇《しゆしん》が動《うご》く、と花《はな》が囁《さゝや》くやうなのに、恍惚《うつとり》して我《われ》を忘《わす》れる雪枝《ゆきえ》より、飛騨《ひだ》の国《くに》の住人《じゆうにん》以《も》つての外《ほか》畏縮《ゐしゆく》に及《およ》んで、
「南無三宝《なむさんぽう》、あやまり果《は》てた。」と烏帽子《えばうし》を掻《か
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