》いて猪頸《ゐくび》に窘《すく》む。
「いえ/\此《これ》も定《さだ》まる約束《やくそく》。……しかし、尚《な》ほ懐《なつか》しい。奥様《おくさま》を思切《おもひき》り、世《よ》を捨《す》てゝも私《わたし》の傍《そば》に命《いのち》をかけて居《ゐ》やうとおつしやる。其《そ》のお言葉《ことば》で奥様《おくさま》は救《すく》はれます……私《わたし》も又《また》命《いのち》にかけても、お望《のぞみ》を遂《と》げさせましやう。
さあ、貴下《あなた》、あらためて、奥様《おくさま》を償《つくな》ふための、木彫《きぼり》の像《ざう》をお作《つく》り遊《あそ》ばせ、勝《すぐ》れた、優《まさ》つた、生命《いのち》ある形代《かたしろ》をお刻《きざ》みなさい。
屹《きつ》と敵《かたき》に不足《ふそく》は言《い》はせぬ。花片《はなびら》を雪《ゆき》にかへて、魔物《まもの》の煩悩《ぼんなう》のほむらを冷《ひや》す、価値《ねうち》のあるのを、私《わたくし》が作《つく》らせませう、……お爺《ぢい》さん、」
と見返《みかへ》つて、
「貴翁《あなた》がお家《いへ》重代《じゆうだい》の、其《そ》の小刀《こがたな》を、
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