らい》が響《ひゞ》く。
 音《おと》の中《なか》に、
「切《き》らう!」
と思切《おもひき》つた美女《たをやめ》の、細《ほそ》い透《とほ》る声音《こはね》が、胸《むね》を抉《えぐ》つて耳《みゝ》を貫《つらぬ》く。
「何《なに》を、切《き》ればと言《い》ふて早《は》や今《いま》は……乞目《こひめ》!」
と誇立《ほこりた》つた坊主《ばうず》の声《こゑ》が響《ひゞ》いたが。
「やあ、勝《か》つた。」
と叫《さけ》んで、大音《だいおん》に呵々《から/\》と笑《わら》ふと斉《ひと》しく、空《そら》を指《さ》した指《ゆび》の尖《さき》へ、法衣《ころも》の裙《すそ》が衝《つ》と上《あが》つた、黒雲《くろくも》の袖《そで》を捲《ま》いて、虚空《こくう》へ電《いなづま》を曳《ひ》いて飛《と》ぶ。
 と風《かぜ》の余波《なごり》に寂《しん》として、谷《たに》は瞬《またゝ》く間《ま》に、もとの陽炎《かげらふ》。
 が、日《ひ》の光《ひか》りやゝ弱《よわ》く、衣《きぬ》のひた/\と身《み》に着《つ》く処《ところ》に、薄《うす》い影《かげ》が繊細《かほそ》くさして、散乱《ちりみだ》れた桜《さくら》の花《はな》の
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