と二声《ふたこゑ》呼《よ》ばるゝ。
「やあ、拙僧《わし》が事《こと》か、」と、間《ま》を措《お》いて坊主《ばうず》が答《こた》へた。
「あの、其《そ》の指《ゆび》をお指《さ》しになれば、天守《てんしゆ》の方《かた》の、お心《こゝろ》が通《つう》じますかえ。」
「如何《いか》にも。」と片手《かたて》を握《にぎ》つて、片手《かたて》を其《そ》の蒼《あを》い頬《ほゝ》げたに並《なら》べて、横《よこ》に開《ひら》いて応《おう》じたのである。
「双六《すごろく》を打《う》つて賭《か》けませう。私《わたし》は其《そ》の他《ほか》の事《こと》は何《なん》にも知《し》らねば……而《そ》して、私《わたし》が負《ま》けましたら、其切《それきり》仕方《しかた》がありません。もし、あの、私《わたし》が勝《かち》となれば、此《こ》のお方《かた》の其《そ》の奥様《おくさま》を、恙《つゝが》なう、お戻《もど》しになりますやうに……お約束《やくそく》が出来《でき》ませうか。」
と物優《ものやさ》しいが力《ちから》ある声《こゑ》して聞《き》く。
坊主《ばうず》は言下《ごんか》に空《くう》を指《さ》した。
「天守《てん
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