ゝ、二輪《にりん》、一輪《いちりん》、一輪《いちりん》、二輪《にりん》、空《そら》に蒔絵《まきゑ》した星《ほし》の如《ごと》く、浮彫《うきぼり》したやう並《なら》べられた。
美女《たをやめ》は、やゝ俯向《うつむ》いて、其《そ》の駒《こま》を熟《じつ》と視《なが》める風情《ふぜい》の、黒髪《くろかみ》に唯《たゞ》一輪《いちりん》、……白《しろ》い鼓草《たんぽゝ》をさして居《ゐ》た。此《こ》の色《いろ》の花《はな》は、一谷《ひとたに》に他《ほか》には無《な》かつた。
軽《かる》く其《そ》の黒髪《くろかみ》を戦《そよ》がしに来《く》る風《かぜ》もなしに、空《そら》なる桜《さくら》が、はら/\と散《ち》つたが、鳥《とり》も啼《な》かぬ静《しづ》かさに、花片《はなびら》の音《おと》がする……一片《ひとひら》……二片《ふたひら》……三片《みひら》……
「三《みツ》つ」と鶯《うぐひす》のやうな声《こゑ》、袖《そで》のあたりが揺《ゆ》れたと思《おも》へば、蝶《てふ》が一《ひと》ツひら/\と来《き》て、磐《ばん》の上《うへ》をすつと行《ゆ》く……
「一《ひと》つ、」
と美女《たをやめ》は又《また》算
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