》に仕上《しあ》げさせたら何《なん》とする。』
『然《さ》れば、言《い》ふ通《とほ》りに仕上《しあが》つて、其処《そこ》で其《そ》の木像《もくざう》が動《うご》くかな、目《め》を働《はたら》かすかな、指《さ》す手《て》は伸《の》び、引《ひ》く手《て》は曲《まが》るか、足《あし》は何《ど》うじや、歩行《ある》くかな。』
と皆《みな》まで言《い》はせず、老爺《ぢい》が其《そ》の眉《まゆ》、白銀《しろがね》の如《ごと》き光《ひかり》を帯《お》びて、太陽《ひ》に向《むか》ふ目《め》を輝《かゞや》かした。手拍子《てべうし》拍《う》つやう、腰《こし》の麻袋《あさぶくろ》をはた/\と敲《たゝ》いたが、鬼《おに》に向《むか》つて臀《いしき》を掻《か》く、大胆不敵《だいたんふてき》の状《さま》が見《み》えた。
『天守《てんしゆ》の魔物《まもの》は何時《いつ》から棲《す》むよ。飛騨国《ひだのくに》の住人《じうにん》日本《につぽん》の刻彫師《ほりものし》、尾《を》ヶ|瀬《せ》菊之丞《きくのじやう》孫《まご》の菊松《きくまつ》、行年《ぎやうねん》積《つも》つて七十一歳《しちじふいつさい》。極楽《ごくらく》から
前へ
次へ
全284ページ中238ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
泉 鏡花 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング