《も》むのが、主《ぬし》たち道徳《だうとく》の役《やく》だんべい、押死《おつち》んだ魂《たましひ》さ導《みちび》くも勤《つとめ》なら、持余《もてあま》した色恋《いろこひ》の捌《さばき》を着《つ》けるも法《ほふ》ではねえだか、の、御坊《ごばう》。』
『然《さ》ればな……いや口《くち》の減《へ》らぬ老爺《ぢゞい》、身勝手《みがつて》を言《い》ふが、一理《いちり》ある。――処《ところ》でな、あの晩《ばん》四《よ》つ手網《であみ》の番《ばん》をしたが悪縁《あくえん》ぢや、御身《おみ》が言《い》ふ通《とほ》り色恋《いろこひ》の捌《さばき》を頼《たの》まれた事《こと》と思《おも》へ。
 別《べつ》ではない、此《こ》の少《わか》い人《ひと》の内儀《ないぎ》の事《こと》でな、』
 雪枝《ゆきえ》は屹《きつ》と向直《むきなほ》つた。
 流盻《しりめ》に掛《か》けつゝ尚《な》ほ老爺《ぢい》に、
『……其《そ》の夜《よ》、夢幻《ゆめまぼろし》のやうに言托《ことづけ》を頼《たの》まれて、采《さい》を験《しるし》に受取《うけと》つたは、さて此方衆《こなたしゆ》知《し》つての通《とほ》りだ。――頼《たの》まれた事
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