》に逸《はや》つて、うか/\と老爺《ぢい》の口《くち》に乗《の》らぬが可《い》い。……其《そ》の気《き》で城趾《しろあと》に根《ね》を生《はや》いて、天守《てんしゆ》と根較《こんくら》べを遣《や》らうなら、御身《おみ》は蘆《あし》の中《なか》の鉋屑《かんなくづ》、蛙《かへる》の干物《ひもの》と成果《なりは》てやうぞ……此《この》老爺《ぢい》はなか/\術《て》がある! 蝙蝠《かはほり》を刻《きざ》んで飛《と》ばせ、魚《うを》を彫《ほ》つて泳《およ》がせる代《かはり》には、此《こ》の年紀《とし》をして怪《け》しからず、色気《いろけ》がある、……あるは可《い》いが、汝《うぬ》が身《み》で持余《もてあ》ました色恋《いろこひ》を、ぬつぺりと鯰抜《なまづぬ》けして、人《ひと》にかづけやうとするではないか。城《じやう》ヶ|沼《ぬま》の暗夜《やみ》を思《おも》へ!
 何《なに》か、自分《じぶん》に此《こ》の天守《てんしゆ》の主人《あるじ》から、手間賃《てまちん》の前借《まへがり》をして居《を》つて、其《そ》の借《かり》を返《かへ》す羽目《はめ》を、投遣《なげや》りに怠惰《なまけ》を遣《や》り、格合《か
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