へ》に颯《さつ》と薄紅《うすくれなゐ》。
色《いろ》が美女《たをやめ》の瞼《まぶた》にさし、影《かげ》が美女《たをやめ》の衣《きぬ》を通《とほ》す……
雪枝《ゆきえ》が路《みち》を分《わ》け、巌《いは》を伝《つた》ひ、流《ながれ》を渉《わた》り、梢《こずゑ》を攀《よ》ぢ、桂《かつら》を這《は》つて、此処《こゝ》に辿《たど》り着《つ》いた山蔭《やまかげ》に、はじめて見《み》たのは此《こ》の桜《さくら》で。……
一行《いつかう》は、渠《かれ》と、老爺《おやぢ》と、別《べつ》に一人《ひとり》、背《せ》の高《たか》い、色《いろ》の蒼《あを》い坊主《ばうず》であつた。
是《これ》より前《さき》、雪枝《ゆきえ》は城趾《しろあと》の濠端《ほりばた》で、老爺《ぢい》と並《なら》んで、殆《ほとん》ど小学生《せうがくせい》の態度《たいど》を以《もつ》て、熱心《ねつしん》に魚《うを》の形《かたち》を刻《きざ》みながら、同時《どうじ》に製作《せいさく》しはじめた老爺《ぢい》の手振《てぶり》を見《み》るべく……密《そつ》と傍見《わきみ》して、フト其《そ》の目《め》を外《そ》らした時《とき》、天守《てんし
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