》は其《そ》の美女《たをやめ》を前《まへ》に盤石《ばんじやく》を隔《へだ》てゝ蹲《うづくま》つたのである……
 双六巌《すごろくいは》の、其《そ》の虹《にじ》の如《ごと》き格目《こまめ》は、美女《たをやめ》の帯《おび》のあたりをスーツと引《ひ》いて、其処《そこ》へも紫《むらさき》が射《さ》し、黄《き》が映《うつ》る……雲《くも》は、霞《かすみ》は、陽炎《かげらふ》は、遠近《をちこち》に尽《こと/″\》く此《こ》の美女《たをやめ》を形《かたち》づくるために、濃《こ》くも薄《うす》くも懸《かゝ》るらし。其《そ》の形《かたち》の厳《おごそか》なるは、白銀《しろがね》の鎧《よろひ》して彼《かれ》を守護《しゆご》する勇士《いうし》の如《ごと》く、其《そ》の姿《すがた》の優《やさ》しいのは、姫《ひめ》に斉眉《かしづ》く侍女《じぢよ》かと見《み》える。
 美女《たをやめ》の背後《うしろ》に当《あた》る……其《そ》の山懐《やまふところ》に、唯《たゞ》一本《ひともと》、古歌《こか》の風情《ふぜい》の桜花《さくらばな》、浅黄《あさぎ》にも黒染《すみぞめ》にも白妙《しろたへ》にも咲《さ》かないで、一重《ひと
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