》じに遣《や》らかすで、較《くら》べて見《み》るだね。ひよつとかして、私《わし》の方《はう》さ出来《でき》が佳《よ》くば、相談対手《さうだんあひて》に成《な》れるだでの、可《いゝ》か、さあ、ござらつせえ。」
と小刀《こがたな》を添《そ》へて突着《つきつ》けた。雪枝《ゆきえ》は胡座《あぐら》を組直《くみなほ》した。
「一《ひ》イ二《ふ》ウ三《み》イ、はじめるぞ、はゝゝはゝ駆競《かけつくら》のやうだの。何《なに》も前後《あとさき》に構《かま》ひごとはねえだよ。お前様《めえさま》串戯《じやうだん》ごとではあんめえが、何《なん》でも仕事《しごと》するには元気《げんき》に限《かぎ》るだで、景気《けいき》をつけるだ。――可《えゝ》かの、一《ひ》イ二《ふ》ウ三《み》イで、遣《や》りかけるだ。一《ひ》イ二《ふ》ウ三《み》イ! はツはツはツ。」
 笑《わら》ひかけて、済《す》まして遣《や》り出《だ》す。老爺《ぢゞい》の手《て》にも小刀《こがたな》が動《うご》く、と双《なら》んで二挺《にちやう》、日《ひ》の光《ひかり》に晃々《きら/\》と閃《きらめ》きはじめた……掌《たなそこ》の木《き》の枝《えだ》は、其
前へ 次へ
全284ページ中214ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
泉 鏡花 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング