ふう》して歩行《ある》いたが、少時《しばらく》して引返《ひきかへ》した。拾《ひろ》つて来《き》たのは雄鹿《をじか》の角《つの》の折《をれ》、山《やま》深《ふか》ければ千歳《ちとせ》の松《まつ》の根《ね》に生《お》ふると聞《き》く、伏苓《ふくれう》と云《い》ふものめいたが、何《なに》、別《べつ》に……尋常《たゞ》の樹《き》の枝《えだ》、女《をんな》の腕《かひな》ぐらゐの細《ほそ》さで、一尺《いつしやく》有余《いうよ》也《なり》。
 ト件《くだん》の麻袋《あさぶくろ》の口《くち》を開《あ》けて、握飯《にぎりめし》でも出《だ》しさうなのが、一挺《いつちやう》小刀《こがたな》を抽取《ぬきと》つて、無雑作《むざうさ》に、さくりと当《あ》てる、ヤ又《また》能《よ》く切《き》れる、枝《えだ》はすかりと二《ふた》ツに成《な》つた。
「鯉《こひ》とも思《おも》ふが、木《き》が小《ちつこ》い。鰌《どぜう》では可笑《をかし》かんべい。鮒《ふな》を一《ひと》ツ製《こさ》へて見《み》せつせえ。雑《ざつ》と形《かたち》で可《え》え。鱗《うろこ》は縦横《たてよこ》に筋《すぢ》を引《ひ》くだ、……私《わし》も同《おな
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