《いだ》くやうに懸《か》けたと思《おも》ふと、一階目《いつかいめ》の廻廊《くわいらう》めいた板敷《いたじき》へ、ぬい、と上《のぼ》つて其《そ》の外周囲《そとまはり》をぐるりと歩行《ある》いた。……音《おと》に鎗《やり》ヶ|嶽《だけ》と中空《なかぞら》に相聳《あひそび》えて、月《つき》を懸《か》け太陽《ひ》を迎《むか》ふると聞《き》く……此《こ》の建物《たてもの》はさすがに偉大《おほき》い。――朧《おぼろ》の中《なか》に然《さ》ばかり蔓《はびこ》つた牛《うし》の姿《すがた》も、床《ゆか》走《はし》る鼠《ねずみ》のやうに見《み》えた。
ぐるりと一廻《ひとまは》りして、一《いつ》ヶ|所《しよ》、巌《いはほ》を抉《えぐ》つたやうな扉《とびら》へ真黒《まつくろ》に成《な》つて入《はい》つたと思《おも》ふと、一《ひと》つよぢれた向《むか》ふ状《ざま》なる階子《はしご》の中《なか》ほどを、灰色《はいいろ》の背《せ》を畝《うね》つて上《のぼ》る、牛《うし》は斑《まだら》で。
此《こ》の一階目《いつかいめ》の床《ゆか》は、今《いま》過《よぎ》つた野《の》に、扉《とびら》を建《た》てまはしたと見《み》
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