るばかり広《ひろ》かつた。短《みじか》い草《くさ》も処々《ところ/″\》、矢間《やざま》に一《ひと》ツ黄色《きいろ》い月《つき》で、朧《おぼろ》の夜《よ》も同《おな》じやう。
 と黒雲《くろくも》を被《かつ》いだ如《ごと》く、牛《うし》の尾《を》が上口《あがりくち》を漏《も》れたのを仰《あふ》いで、上《うへ》の段《だん》、上《うへ》の段《だん》と、両手《りやうて》を先《さき》へ掛《か》けながら、慌《あはたゞ》しく駆上《かけあが》つた。……月《つき》は暗《くら》かつた、矢間《やざま》の外《そと》は森《もり》の下闇《したやみ》で苔《こけ》の香《か》が満《み》ちて居《ゐ》た。……牛《うし》の身躰《からだ》は、早《は》や又《また》段《だん》の上《うへ》へ半《なか》ばを乗越《のりこ》す。
 ぐる/\と急《いそ》いで廻《まは》つて取着《とつつ》いて追《お》つて上《のぼ》る。と此《こ》の矢間《やざま》の月《つき》は赤《あか》かつた。魔界《まかい》の色《いろ》であらうと思《おも》ふ。が、猶予《ためら》ふ隙《ひま》もなく直《たゞ》ちに三階目《さんがいめ》を攀《よ》ぢ上《のぼ》る……
 最《も》う仰《あふ
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