《よこぎ》つて、竹《たけ》の脚《あし》を、蹌踉《よろ》めく癖《くせ》に、小賢《こざか》しくも案山子《かゝし》の同勢《どうぜい》橋板《はしいた》を、どゞろ/\とゞろと鳴《な》らす。
『寝《ね》て居《ゐ》るに騒《さわ》がしい。』
と欄干《らんかん》が声《こゑ》を懸《か》けた。
『あゝ、気《き》の毒《どく》だ。』
とうつかり人間《にんげん》の雪枝《ゆきえ》が答《こた》へた。おや、と心着《こゝろづ》くと最《も》うざんざと川水《かはみづ》。
まだ可怪《おかし》かつたのは、一行《いつかう》が、其《それ》から過般《いつか》の、あの、城山《しろやま》へ上《のぼ》る取着《とつつき》の石段《いしだん》に懸《かゝ》つた時《とき》で。是《これ》から推上《おしあが》らうと云《い》ふのに一呼吸《ひといき》つくらしく、フト停《と》まると、中《なか》でも不精《ぶせう》らしい簑《みの》の裾《すそ》の長《なが》いのが、雲《くも》のやうに渦《うづま》いた段《だん》の下《した》の、大木《たいぼく》の槐《えんじゆ》の幹《みき》に恁懸《よりかゝ》つて、ごそりと身動《みうご》きをしたと思《おも》へ。
『わい、擽《くすぐつ》てえ。
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