四《よ》ツ、ふら/\と取巻《とりま》いて、
『乗《の》つされ。』
『お人形《にんぎやう》、乗《の》つせえ。』と言《い》ふ。
『はゝあ、載《の》せろ、と言《い》ふのか、面白《おもしろ》い。』
案《あん》ずるに、此《こ》の車《くるま》を以《も》つて、我《わ》が作品《さくひん》を礼《れい》するのであらう。其《そ》の厚志《かうし》、敢《あへ》て、輿《こし》と駕籠《かご》と破《やぶ》れ傘《がさ》とを択《えら》ばぬ。其処《そこ》で彫像《てうざう》の脇《わき》を抱《だ》いて、傘《からかさ》の柄《え》に腰《こし》を据《す》えると、不思議《ふしぎ》や、裾《すそ》も開《ひら》かず、肩《かた》も反《そ》らず……膠《にかは》で着《つ》けたやうに整然《ちやん》と乗《の》つた、同時《どうじ》にくる/\と傘《からかさ》が廻《まは》つて、さつさと行《ゆ》く……
やがて温泉《いでゆ》の宿《やど》を前途《ゆくて》に望《のぞ》んで、傍《かたはら》に谿河《たにがは》の、恰《あたか》も銀河《ぎんが》の砕《くだ》けて山《やま》を貫《つらぬ》くが如《ごと》きを見《み》た時《とき》、傘《からかさ》の輪《わ》は流《ながれ》に逆《さ
前へ
次へ
全284ページ中198ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
泉 鏡花 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング